導入事例の構成は、課題、選定理由、導入の過程、成果をつなぐのが基本です。冒頭には対象となる企業や業務を短く紹介し、最後には残る課題や今後の予定を必要に応じて添えます。
テンプレートを使うと、記事に必要な情報と、追加で確認したいことを見渡せます。ここでは、項目ごとの役割と、架空のワークフロー導入の記入例を紹介します。
- 導入前
何に困り、なぜ検討を始めたか
- 判断と導入
何を選び、どのように進めたか
- 導入後
何が変わり、次に何を考えるか
基本構成と、各項目に入れる内容
企業・業務の概要
- 入れる内容
- 業種、規模、今回の対象部門・業務
- 書きすぎない方がよい内容
- 事例と関係の薄い沿革や製品紹介
導入前の課題
- 入れる内容
- 以前の進め方、困っていた場面、検討のきっかけ
- 書きすぎない方がよい内容
- 抽象的な課題名の羅列
選定理由
- 入れる内容
- 比較条件、試した内容、最終的な判断
- 書きすぎない方がよい内容
- カタログの特長の転載
導入の過程
- 入れる内容
- 準備、試行、運用の変更、現場の工夫
- 書きすぎない方がよい内容
- 日程だけを並べた記録
導入後の変化
- 入れる内容
- 最初の課題に対応する変化、数値と条件
- 書きすぎない方がよい内容
- 根拠のない効果や一般化
今後の予定
- 入れる内容
- 次に取り組むこと、残る課題
- 書きすぎない方がよい内容
- 決まっていない計画の断定
企業概要は、読者が「自社と条件が近いか」を確かめられる分量にします。会社紹介を詳しく読むことが目的ではないため、記事の主題に関係する情報を優先します。
架空のワークフロー導入で、構成を埋める
以下の企業・取り組み・発言は、説明用の架空の例です。実際の顧客の成果を示すものではありません。
構成サンプル / ワークフロー導入
申請の状況を、担当者に聞かずに確認できるように
- 企業・業務
- 複数拠点を持つ卸売会社。購買申請を管理部門が取りまとめている。
- 以前の課題
- 紙とメールで届く申請が混在し、申請者から進捗を聞かれるたびに、管理部門が承認者へ確認していた。
- 選定の決め手
- 申請者が進捗を確認できることと、既存の承認ルールを無理なく設定できること。実際の申請で試用して確かめた。
- 導入の工夫
- 一部門で試し、入力に迷う項目を修正。部門ごとの違いを確認してから拠点へ広げた。
- 起きた変化
- 申請者が画面から承認状況を確認できるようになった。管理部門は例外的な申請への対応に時間を使えるようになった。
- 次の取り組み
- 対象外の申請にも広げることを検討中。例外処理のルールを先に確認する。
この構成では、課題の「進捗を問い合わせないと分からない状態」と、成果の「申請者自身が確認できる状態」が対応しています。その間に試用と運用の見直しを挟み、変化に至る経緯も伝えています。
まだ確認したいのは、どの申請を対象にしたか、誰が試用したか、変更した入力項目は何か、といった具体的な情報です。構成ができても、材料の不足を執筆時の想像で埋めないようにします。
見出しは、項目名から一段具体的にする
「導入の背景」「導入効果」は内容を分類する言葉です。それだけでは、この事例で何が起きたかまでは分かりません。記事本文の見出しでは、具体的な中身を伝えます。
| 構成上の項目名 | 記事見出しの例 |
|---|---|
| 導入前の課題 | 紙とメールに分かれ、承認状況を追いにくかった |
| 選定理由 | 実際の申請で試し、承認ルールとの相性を確認 |
| 導入の過程 | 一部門での試行から、拠点共通の運用へ |
| 導入後の変化 | 例外的な申請への対応に、時間を使えるように |
見出しに情報を詰め込む必要はありません。読む前に内容の見当がつき、読んだ後に本文を思い出せる程度を目指します。長くなる場合は、何が主な変化かを一つ選びます。
冒頭の要約は、本文をつないでから書く
冒頭に課題・取り組み・成果を短く置くと、全体を素早く把握できます。ただ、先に短い言葉へ押し込むと「課題:効率化」「成果:生産性向上」のように、情報が薄くなりがちです。
本文の流れを確かめてから、今回の事例を短く言い直してみます。
要約の例(架空)
複数拠点を持つ卸売会社が、紙とメールで受け付けていた購買申請をワークフローへ移行。一部門で試しながら入力項目を修正し、申請者が進捗を確認できる運用に変えた。
取材先の特徴、変えた対象、実施したこと、変化が分かる要約です。効果の数値がない場合でも、仕事の前後が伝わります。
すべての項目を同じ分量にしない
比較検討に役立てたい記事なら選定理由、現場への定着を伝えたい記事なら導入の過程を詳しくします。今後の取り組みが決まっていなければ、「今後の展望」を無理に設ける必要はありません。
短い営業用資料なら、企業概要と要約を先に見せ、詳しい記事へのリンクを添える方法もあります。文章量を決める前に、Web・PDFでの見せ方も確認しておくと、後からの削りすぎを防げます。
構成に材料を入れられたら、原稿の書き方と編集へ進みます。取材前であれば、埋まらない項目を質問案に戻します。
文・編集:株式会社アークタンジェント
IT・BtoBの導入事例、取材記事、営業資料、ホワイトペーパーなどを企画・制作しています。
関連する解説・資料(ビズログ)
外部サイトのページが別タブで開きます。

