この記事の内容
導入事例が増えてきたら、複数の記事を一冊のPDFや冊子にまとめられます。ただ、既存のPDFをつなげただけでは、どこから読めばよいか、各事例にどんな違いがあるかが分かりにくくなります。
読者とテーマを決め、条件の違う事例を選んで並べます。目次や比較表を添えると、自社に近い事例を探したり、各社の判断の違いを比べたりしやすくなります。
- 読者とテーマ
何を確かめるための事例集か
- 事例と構成
選定、台割、共通の比較項目
- 確認と配布
情報の時点・掲載範囲・最新版
事例集のテーマを、読者の疑問で決める
「最新の導入事例集」というまとめ方もできますが、特定の課題を持つ方には、何を確かめられる資料かが伝わる方が選びやすくなります。
- 少人数の情報システム部門で、クラウドへ移行した事例を集める
- 既存システムを残しながら、新しいサービスを導入した企業を比較する
- 製造業の複数拠点で、業務を共通化した過程を紹介する
- 試行から全社展開までの進め方を、複数社で読む
テーマを絞ると、収録しない事例も出てきます。知名度が高いからと、条件の違う記事を無理に加えるより、別冊やWeb記事として紹介する方が読者の判断を助ける場合があります。
掲載する事例を選び、比較できる項目をそろえる
一冊で比較したいのは、成果の大きさだけではありません。どんな条件で、何を選び、どのように進めたかを見ます。
| 共通項目 | そろえる理由 |
|---|---|
| 企業・対象業務 | 読者が自社と条件を比べるため |
| 導入前の課題 | 各社が何を解決したかったかを見るため |
| 選定理由 | 重視した条件の違いを知るため |
| 導入・定着の工夫 | 実際の進め方を参考にするため |
| 成果と確認時点 | 対象と時期を取り違えずに読むため |
古い記事で項目が欠けている場合は、追加確認が可能かを検討します。比較表の空欄を埋めるために、原稿から推測して書かないようにします。「本文に記載なし」と「実施していない」は違います。
比較表で、導入条件の違いを伝える
以下は、クラウド移行をテーマにした架空の比較例です。
| 事例 | 導入時の条件 | 進め方 | 読者が確認できること |
|---|---|---|---|
| A社 | 情報システム部門が少人数 | 移行先の保守範囲と社内の担当業務を先に決定 | 移行後の運用を誰が担うか |
| B社 | 拠点ごとに業務の繁忙時間が異なる | 拠点ごとの切り替え時間を調整し、順次移行 | 業務への影響をどう確かめるか |
| C社 | 社内に残すシステムとの連携が必要 | 検証環境でデータの受け渡しを確認してから切り替え | 移行前に何を検証するか |
同じクラウド移行でも、各社が先に解決すべきことは異なります。こうした条件を示すと、読者は自社の検討に役立つ事例を選べます。成果数値を並べる場合は、対象や期間の違いも併記します。
収録内容からページ構成を組み立てる
収録する記事と比較項目が決まったら、各ページに何を置くかを台割にまとめます。以下は、三つの事例をそれぞれ見開きで収録する冊子の構成例です。表紙を1ページ目として、裏表紙までの12ページを数えています。
- 1表紙
誰のどんな疑問に答える資料かを示す
- 2目次・各事例の概要3対象読者・比較する条件
自社に近い事例を探せるようにする
各事例を読む際の着眼点を示す - 4事例A5事例A
一つ目の条件と導入の経緯を紹介
- 6事例B7事例B
別の条件での判断・工夫を紹介
- 8事例C9事例C
異なる運用や展開の例を紹介
- 10三事例の比較表11導入時の確認事項・関連資料
共通点と条件の違いを確認
自社で検討する項目と、詳しい資料を案内 - 12裏表紙・問い合わせ先
発行元、連絡先、版・発行時点を明示
4〜5、6〜7、8〜9ページをそれぞれ見開きにすると、一つの事例を開いた状態で読めます。事例の分量を変える場合も、ページをめくる位置を確かめて台割を調整します。綴じ方や総ページ数は、原稿制作の前に印刷会社とも相談しておきます。
掲載条件と情報の時点を確かめる
Web記事として承認された内容を、冊子や営業用PDFに再掲載してよいかを確認します。本文を短くする、見出しを変える、複数社の比較表に入れる場合は、その状態で確認が必要になることもあります。
製品名、役職、導入状況、数値は記事の取材時点の情報です。冊子の発行日に合わせて現在の情報に書き換えると、当時の経験と混ざる恐れがあります。最新情報を追記する場合は、時点を分けて示します。
見直しの判断は、古い事例の更新・再編集で詳しく説明しています。
配布方法と、更新する担当を決める
PDFを商談で送るのか、Webでダウンロードしてもらうのか、展示会で配布するのかによって、容量や問い合わせ先の見せ方も変わります。画面向けと印刷向けのデータが必要かを、デザインの段階で確認します。
配布を始めたら、版と更新日を管理します。新しい版を作っても、営業の手元に古いファイルが残る場合があります。最新版の置き場所を決め、差し替え時には変更点を短く知らせます。
文・編集:株式会社アークタンジェント
IT・BtoBの導入事例、取材記事、営業資料、ホワイトペーパーなどを企画・制作しています。
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