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成果の数字を出せない導入事例

定性的な変化の取材と伝え方

この記事の内容
  1. 数字を出せない理由を分ける
  2. 感想を、導入前後の場面へ戻す
  3. 取材で使える、変化を聞く質問
  4. 書けることと、書きすぎになること
  5. 具体的な変化を、記事全体につなげる

「成果の数値を公開できないのですが、導入事例になりますか」。数値を公開できない場合も、仕事の進め方や判断の変化を伝えられる事例はあります。ただ、「便利になった」という感想だけでは、読者が自社の仕事に置き換えて考えるには情報が足りません。

誰の仕事が、どの場面で、どう変わったのか。そこまで聞ければ、数字では示しにくい効果も具体的に伝えられます。

数字の代わりに、仕事の前後を具体的に
  1. 以前の場面

    どこで、誰が困っていたか

  2. 変えたこと

    仕組みと運用をどう変えたか

  3. 現在の場面

    確認・判断・引き継ぎの違い

数字を出せない理由を分ける

数値はあるが公開できない

取材・編集の進め方
公開可能な業務の変化を聞く。推定値や比率へ勝手に変換しない

まだ計測していない

取材・編集の進め方
確認できる事実と本人の実感を分けて記載する

導入直後で評価には早い

取材・編集の進め方
選定理由や移行の工夫を中心にし、成果を断定しない

目的が数値化しにくい

取材・編集の進め方
判断、共有、引き継ぎなどの変化を具体的な場面で聞く

実数が非公開なら割合に変えればよい、というものではありません。割合から元の情報が推測される場合もあります。別の表現にする際も、根拠と公開可否を確認します。

感想を、導入前後の場面へ戻す

「情報共有が楽になった」という回答があったら、その言葉を言い換えるだけでは具体性が増えません。以前と今の仕事を、同じ項目で聞きます。

担当者が不在のときの情報確認

導入前

  1. 担当者が不在
  2. 過去の対応を知る人を探す
  3. 対応内容を確認

導入後

  1. 共有履歴を見る
  2. 別の担当者が対応内容を確認

説明用の架空の例ですが、確認する人と手順の変化が見えます。「業務が効率化した」という評価だけより、どのような不便が減ったのかを想像できます。

さらに、どの履歴が残るようになったか、記録のルールを誰が決めたかも聞きます。システム導入と同時に運用を変えていたなら、その工夫も成果を説明する材料になります。

取材で使える、変化を聞く質問

  • 以前は必要で、今はしなくてよくなった作業はありますか。
  • どこを見れば状況が分かるか、変わりましたか。
  • 他の人への確認が必要な場面と、自分で判断できる場面はどう変わりましたか。
  • 担当者が不在のとき、対応の仕方は変わりましたか。
  • 導入前には心配していたけれど、今は気にならないことはありますか。
  • その変化を感じた、具体的な出来事を教えていただけますか。
  • 導入後も変わらなかったことや、新たに手間がかかるようになったことはありますか。

「負担は減りましたよね」と結論を含む質問にすると、相手が合わせて答えてしまうことがあります。何が変わったかを尋ね、変わらなかったことも含めて聞きます。

変化がいくつも出てきたら、本人が特に価値を感じている場面を聞きます。例えば「不在時も任せられる」という話なら、以前は休暇中にも連絡を受けていたのか、引き継ぎに何を用意する必要があったのか。負担の大きさを数字に置き換えなくても、その人にとっての意味を描けます。

書けることと、書きすぎになること

次の表は、架空の取材内容をもとにした編集上の判断例です。

確認できた話 記事にできる表現 根拠が足りない表現
本人に聞かずに、共有履歴で前回の対応を確認できるようになった 前回の対応を、履歴から確認できるようになった 対応時間が半減した
会議の参加者が、各部門の状況を共通の画面で事前に確認するようになった 各部門の状況を、会議前に共有できるようになった 経営判断が必ず速くなる
担当者が「不在時も任せられて安心です」と話した 「不在時も任せられて安心です」と担当者は話す 全社員のストレスを解消した

効果の対象範囲を広げすぎないことも大切です。一部門の変化ならその部門、試行中なら試行中の話として書きます。発言者の実感を、全社を調べた結果のように扱わないようにします。

具体的な変化を、記事全体につなげる

成果の部分だけを詳しくしても、最初の課題と関係がなければ話がつながりません。導入前にどんな支障があり、その条件に対して何を選び、何を変えたのかを読み返します。

数字がないことを、毎回大きな断り書きにする必要はありません。計測の有無が読み手の理解に関わる箇所では明示し、それ以外は確認できた変化を具体的に伝えます。

仕事の前後を説明できる材料が足りなければ、追加取材を行うか、運用が落ち着くまで取材を待つ方法もあります。聞く内容を考えるときはインタビューの質問例、原稿にまとめる段階では書き方と編集例も参考にしてください。

文・編集:株式会社アークタンジェント

IT・BtoBの導入事例、取材記事、営業資料、ホワイトペーパーなどを企画・制作しています。

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