この記事の内容
導入事例を公開した後、アクセス数は分かっても、「制作してよかったのか」「次は何を直せばよいのか」までは判断しづらいものです。営業に聞いても、「ときどき使っている」という返事だけでは、記事のどこが役立っているのか見えてきません。
効果を確かめるには、その事例を何に使うつもりだったかに戻ります。Webで相談や資料請求を増やしたいなら、閲覧後の行動を。商談での説明に使いたいなら、使った場面と顧客の反応を追います。この記事では、目的に合う記録を残し、記事の修正や次の取材につなげる手順を紹介します。
- 目的を決める
Webでの相談、商談の説明、社内検討
- 使われ方を記録する
閲覧後の行動、使用した案件、顧客の反応
- 改善して確かめる
案内・本文の見直し、足りない事例の追加
制作目的に合わせて、見る項目を選ぶ
幅広い読者に製品の使い方を知ってもらう記事と、特定の業種との商談で使う記事では、期待する働きが違います。すべての事例を閲覧数だけで比べず、何に役立てたいかに合わせて、見る項目を決めます。
製品の使い方を知ってもらう
- 記録するもの
- 記事の閲覧数、検索や紹介メールなどの流入元
- 確かめたいこと
- 想定した経路から記事に来てもらえているか
問い合わせ・資料請求につなげる
- 記録するもの
- 記事内のリンク操作、記事閲覧後の問い合わせ・資料請求
- 確かめたいこと
- 関心を持った人が、相談や詳しい情報へ進んでいるか
商談での説明を助ける
- 記録するもの
- 使用した案件、説明に使った箇所、顧客の質問
- 確かめたいこと
- 製品説明だけでは伝わりにくい部分を補えたか
顧客の社内検討を助ける
- 記録するもの
- 社内で共有したと聞けた資料、追加で求められた情報
- 確かめたいこと
- 上司や利用部門への説明に何が役立ち、何が足りなかったか
限られた業種に向けた事例なら、閲覧数が少なくても、その業種の顧客との商談で選ばれているかを確かめます。記事に来てもらえているかと、必要な説明に使えているかを分けて見ると、数だけでは分からなかった使われ方に目を向けられます。
Webでは、閲覧とその後の行動を記録する
まずWeb担当者と、対象の記事と、そこから進んでほしいページやフォームを確認します。アクセス解析では、次の項目を記録できるか確かめておくと、その後の振り返りに使えます。
| 見る項目 | 記録のしかた | 確認すること |
|---|---|---|
| 記事の閲覧 | 対象URLのページ表示回数を、期間と流入元ごとに集計する | 記事に来てもらえているか。メール配信や掲載場所の変更で増減したか |
| 次の情報への移動 | 記事内のサービス紹介、料金、PDFなどへのリンクのクリックを記録する | どの情報が選ばれているか。読者が必要とする情報を案内できているか |
| 問い合わせ・資料請求 | 記事を見てから、同じ訪問中にフォーム送信を完了した訪問数などを集計する | 閲覧後の相談や請求があるか。フォームへの移動に対して送信完了はどの程度あるか |
リンクのクリックやフォーム送信は、必要な計測設定と動作確認をしてから集計します。「問い合わせボタンを押した数」と「問い合わせが届いた数」は別の項目です。送信の計測値は実際の受付記録とも照合しておきます。
PDFについても、何を数えているかを確認します。例えばGA4の file_download は、対象ファイルへのリンクがクリックされたときの記録です。PDFを読み終えた数ではありません。詳しい計測仕様は、Googleの「自動的に収集されるイベント」で確認できます。
前月や別の記事と比べるときは、集計期間と数え方をそろえ、メール配信や広告出稿の有無も残します。「同じ訪問中の問い合わせ」を見ている場合、後日あらためて問い合わせた人はその集計に入りません。どこまでを記録した数字なのか、担当者間でそろえておけば比較しやすくなります。
商談では、どの説明に役立ったかを確かめる
営業での使われ方は、アクセス解析だけでは把握できません。メールに添付したPDFや、商談中に見せた紙面、顧客の社内で回覧された資料など、Webの閲覧記録に残らない使い方もあるためです。
営業には、普段の商談記録に「使った事例」「何の説明に使ったか」「相手の反応」を短く残してもらいます。使用した案件と結び付けておけば、顧客の質問や、その後の商談の進み方も振り返れます。
営業の記録例 / 架空の商談
導入後の定着が不安な顧客に、事例を紹介した場合
- 使った事例
- ワークフローを全社に導入した事例
- 顧客の懸念
- 現場の社員に、新しい申請方法を覚えてもらえるか
- 紹介した箇所
- 部署ごとの説明会と、導入後の問い合わせ窓口についての記述
- 確認できた反応
- 「自社ならどのように研修を進めればよいか」と質問があり、利用部門を交えた打ち合わせをすることになった
- 次に必要なもの
- 利用部門に向けた、導入準備と研修内容の説明資料
この例なら、事例の「導入後に定着させるための取り組み」が、顧客の検討材料になったと記録できます。また、次の説明に何が必要かも残っています。「好評だった」という感想だけでなく、どの箇所に質問が出て、何が不足していたかまで聞くと、制作側も次の対応を考えられます。
利用状況を集計する場合は、事例ごとに使った案件数を数えます。同じ案件で繰り返し使った回数とは分けて扱います。送付したものの反応を確認できていない場合は、未確認と記録し、役に立ったと推測で埋めないようにします。
事例を使った商談の受注率を集計しても、それだけで記事の効果とは判断できません。もともと検討が進んだ相手に送っていた可能性もあるためです。送った段階や顧客の質問も併せて残し、記事がどの説明に役立ったかを具体的に確かめます。
記録をもとに、記事と使い方を見直す
記録がそろったら、何を変えるかを考えます。記事が届いていないのか、必要な説明が不足しているのかによって、取るべき対応は変わります。
| 分かったこと | 先に確認すること | 改善の候補 |
|---|---|---|
| 記事の閲覧が少ない | 関連するサービスページやメールから案内しているか | 読者が訪れるページから紹介し、見出しや紹介文で扱う課題を伝える |
| 読まれているが、次の行動が少ない | 読者が次に知りたい情報を案内しているか | 関連する料金・仕様・資料へのリンクや、相談の案内を見直す |
| 営業が事例を使っていない | 存在と使いどころを知っているか。対象となる商談はあるか | 事例一覧に「どんな相談に使えるか」を添えて共有する |
| 使うたびに同じ補足説明が必要になる | 記事にない情報か、書いていても探しにくいのか | 掲載できる情報を確認し、説明の追記や要約・図版を用意する |
| 欲しい業種や課題の事例がない | どの商談で、どの説明に困っているか | 不足する経験を話せる顧客を、次の取材候補にする |
例えば、事例の存在が営業に知られていなければ、まず一覧と紹介方法を見直します。その後に利用が増えたかを確かめてから、内容の不足を聞く。最初から本文を書き直すよりも、どこに問題があったかを判断しやすくなります。
本文を補う場合は、取材先への追加確認や掲載承認も必要に応じて進めます。既存記事の見直し方は導入事例の更新・再編集、社内への共有や商談での紹介方法は営業・マーケティング活用でも解説しています。
定期的に振り返り、次に変えることを決める
最初は、重点的に使いたい事例を選び、Web担当者と営業で記録の持ち寄り方を決めます。月に一度など、無理なく続けられる間隔で確認するところから始められます。商談が長期にわたる場合は、利用した案件も継続して追います。
振り返りでは、次の内容を一つの記録に残します。
- 対象の事例、制作目的、集計した期間
- Webでの閲覧・行動の数値と、営業で使った案件・顧客の反応
- 次に変えること、その担当者、変更後に確かめる日
次の確認時には、決めた修正や共有を実施できたか、その後の読まれ方・使われ方に変化があったかを見ます。説明に役立った部分は残し、不足した情報は補う。事例そのものが足りなければ、次の取材先を選ぶ。効果測定を、何を作り、どこを直すかを決めるための記録として使っていきます。
文・編集:株式会社アークタンジェント
IT・BtoBの導入事例、取材記事、営業資料、ホワイトペーパーなどを企画・制作しています。
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