この記事の内容
導入事例の取材先を選ぶとき、最も有名な顧客や、最も大きな成果が出た顧客から考えたくなります。ただ、その事例を読む方が「自社とは条件が違う」と感じたら、詳しい検討には使われないかもしれません。
まず、誰のどんな疑問に答えたいかを決め、その疑問について実際の経験を話せる顧客と担当者を探します。知名度に加え、読者が知りたい話を聞けるかも候補選びの基準にします。
- 答えたい疑問
顧客が商談で確かめたいこと
- 顧客の条件
業種・規模・業務・導入の経緯
- 話せる人
選定、運用、成果を知る担当者
営業で答えにくい質問を、取材テーマにする
商談や問い合わせで繰り返し聞かれることは、取材先を探す手がかりになります。
- 「少人数の情報システム部門でも運用できますか」
- 「既存の基幹システムを残したまま導入できますか」
- 「現場の担当者に使ってもらうまでが大変ではありませんか」
- 「複数拠点で手順が違っていても対応できますか」
例えば、現場への定着を説明したいなら、全社展開を一度で終えた企業より、一部門で試し、運用を直しながら広げた企業の話が参考になる場合があります。どの顧客が話題性を持つかと、どの顧客が読者の疑問に答えられるかを、分けて見ます。
候補は、成果・条件・話せる内容で比べる
以下は、架空の候補を比較した例です。点数を付けて機械的に決める表ではなく、何を追加で確認すべきかを見つけるために使います。
| 候補 | 読者との共通点 | 聞けそうな話 | 依頼前の確認 |
|---|---|---|---|
| 大規模企業A | 同じ業種だが、運用担当者が多い | 全社統制と部門間調整 | 小規模企業にも応用できる工夫があるか |
| 中堅企業B | 少人数の管理部門で運用 | 導入前の不安、定着までの試行 | 選定担当と現場担当の両方に聞けるか |
| 成長企業C | 今後増やしたい顧客層に近い | 導入直後の移行と初期評価 | 効果を語れる時期か、後日の取材がよいか |
候補Bが常に正解という意味ではありません。全社統制を検討する読者には候補Aが合います。導入直後の進め方を伝える記事なら、候補Cにも価値があります。目的が変われば、優先する候補も変わります。
企業と一緒に、話を聞く担当者を選ぶ
同じ会社でも、立場によって見えている導入の意味は違います。
| 話者 | 聞きたいこと | 補って確認したいこと |
|---|---|---|
| 決裁者・部門責任者 | 導入の目的、予算判断、事業上の期待 | 実際の操作や日々の負担は現場にも確認 |
| 選定・導入担当者 | 比較条件、選定理由、移行の工夫 | 導入後の定着や運用は利用者にも確認 |
| 現場の利用者 | 日常業務の変化、使いづらかった点、工夫 | 契約や全社判断の経緯は別の担当に確認 |
一人ですべて答えてもらう必要はありません。主な話者を決め、足りない箇所だけ別の担当者に聞く方法もあります。ただ、参加人数を増やせば話が深まるとは限らず、全員の発言を追うだけで時間が終わることもあります。誰にどの論点を聞くかを、事前に決めます。
数値や社名を公開できるか、早めに確認する
成果の数値があっても、公開できるとは限りません。反対に、数値は測っていなくても、導入前後の仕事の変化を具体的に話せる場合があります。
「数値がないから候補から外す」と決める前に、判断が変わった場面、確認が減った工程、引き継ぎのしやすさなどを聞けるか確かめます。数字を出せない事例の考え方も参考になります。
社名や人物写真に制約がある場合は、その条件で何を伝えられるかを検討します。匿名にするだけで掲載が認められるとは限らないため、内容や業種・規模の表現まで確認が必要です。
選んだ理由を、一枚の取材メモにする
取材候補を決めたら、営業や制作担当者と共有するメモを用意します。
取材テーマの記入例(架空)
読者:専任のセキュリティ担当を置けない情報システム部門
答えたい疑問:検知通知の確認と初動対応を、社内と外部でどう分担するか
候補を選んだ理由:監視サービスの導入時に、外部への相談手順と社内の判断範囲を決めた経験がある
主な話者:サービスを選定した責任者、日々の通知に対応する担当者
確認事項:運用体制をどこまで公開できるか。設定情報や実際の検知画面は載せずに説明できるか
この段階では成果を決めつけず、取材で確かめたいことを残します。想定と違う経験が聞けたら、その背景も尋ねます。依頼する相手とテーマが決まったら、取材依頼と掲載確認へ進みます。
文・編集:株式会社アークタンジェント
IT・BtoBの導入事例、取材記事、営業資料、ホワイトペーパーなどを企画・制作しています。
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